三味線の皮は、四ッ皮とよばれる猫の皮が一般に知られておりますが、最近は、非常に高額になってります。そして、現在、多くのユーザーが使用している皮は犬皮だと思います。この犬皮は、80年代から、タイで製造され、広く普及いたしました。なによりも、国産の犬皮に比べて、皮の強度が増して、丈夫になり、安価であったのが爆発的な普及につながりました。また、皮は儲かる!という幻想をもった多くのブローカーや新規参入してきた業者が、バンコクを跋扈しておりました。景気も良かったのもあるのでしょう、中には、三味線屋さんが、タイに遊びに行くついでに、皮を安く仕入れるなんてことも、多々ありました。そんな、タイでの製造が、2014年(軍によるクーデター)をもって、すべての取引が禁止されました。そもそも、タイ人は、犬肉を食することはなく、先の国王陛下を例にとっても、愛犬家が多く、犬の保護運動も盛んでした。それでは、なぜ?タイで犬肉が取引されていたかというと、さかのぼることベトナム戦争中に、戦火や共産党政権の迫害から逃れたきた多くのカソリック教徒のベトナム人が、タイに移住してきたからです。貧しい東北地方、特にサコンナコンやウドンタニには、多くのベトナム系の住民が、今でも暮らしております。彼らの食文化で、犬肉の習慣があったので、この特異な地域だけで、食用の犬の売買がされておりました。しかし、これらの事情をもってしても、全面禁止となりました。こうして、三味線の皮の主流となっていたタイの犬皮は、日本の市場から姿を消すことになりました。
つづく
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